バックファイヤー

先日の新聞でベニグノ・アキノ氏がフィリピン大統領に就任したとの記事を目にした。
フィリピンといえば、私の船乗り時代の次の話を思い出す。

フィリピン沖で当直中のこと。ボイラーを点火する際にバックファイヤーを顔一面に受け火傷を負ってしまった。頭の毛はちりちりに、まゆげはほぼ無くなっていた。ちょうど長い航海を終えて、ケープタウンより横浜に入港する前だったのに、夢は一瞬でパーになった。

夢というのは、男たるものいろいろあるものだが、飲みにもいけず、何かいい方法はないかと思い悩み、考えに考えた結果、「そうだ、まゆげを書けば良いではないか」と、単純で馬鹿げた発想に落ち着いた。鏡を前に太い油性のマジックインキでまゆげを書いた。

結果は、一発勝負だったので右と左のまゆげで段違いになってしまった…。

段違いまゆげ

油性だったのでやはり消すことができなかったが、飲み屋は暗いのであまり分からないだろうと思い、当時キャバレーに彼女がいたのですぐさま会いにいった。
ボックスに座って待っていると彼女とその友達がやってきた。バレないようにと、まゆげに段がついた分、顔をゆがめてバランスを取って頑張っていたがついにバレて大笑いされてしまった。

あの時はそこまでしてでも飲みに行きたかったんだなぁと、当時の自分のアクティブさと馬鹿さ加減に少しおかしくなった。