船乗り時代のイタズラは数多くある。
その中のひとつにこんな話がある。
大西洋へマグロの買付に行った時のこと。
小生は時々、寿司をにぎって同僚や先輩に最高級のトロを振舞っていた。
自慢ばかりするものだから、機関部で酒飲みの高知県出身の田川さんいわく、
「東光君、たしかに寿司は上手ににぎっており、味も良い。
しかしあえて言えば、ワサビとのバランスが悪い」。
負けず嫌いな両人、素直に褒めあわない。
小生もまた、負けん坊、
「ハイ、わかりました」と、次は寿司のネタより大きなワサビを入れて出した。
さっそく口に入れられたその瞬間、目から涙をポロポロと出しながら、1分ぐらい、涙とワサビの辛さに耐えながら、これまた負けず嫌いが出て「うーん、おいしい!」と言われた。
無理をせずに素直に生きていきましょう…と思ったがいつも酒をごちになっていたので、心の中で大笑い。
土佐清水出身でもう85歳を過ぎておられるだろう。
ごめんなさい・・・ワサビ辛かったでしょう。