開発の秘話

新年あけましておめでとうございます。
休みの日、1日中ボーとしていたら昔を思い出した。
あの頃は井戸水のごとく、アイデアがわき出ていた。
ジオパワーシステムもボーとしていた時のアイデアである。

我々は今までは、井戸水の原理とお客様に説明していたが実際には、
地表熱を地熱と表現しており、少しうしろめたさがあった。
ならば穴をあけてその中の熱を取り出せば良いと考えたが、それでは水が入る。

では筒にすれば水は入らず、空気のみ通すことにより、夏は冷たく、冬は暖かい、
自然エネルギーが取れるのではとの考えから、即実行に入った。
何でも思ったら必ず実証しなければ夜も眠れない性格である。
おまけにガンコ者。周りの人が迷惑である。
この実証こそが現在のジオパワーシステムの原点であり、
「地球で住まいを冷暖房」の原点である。いろいろのカベに当たったが、
回り道をしたり、突き破ったり、いばらの道であったが、出来ると信じて
行動したおかげで、現在に至った。

住む人の幸せを願いつつ、次の開発に望むことを誓い新年を迎えた。

工場野菜

ケチをつける気はないのだが、どうなんだろう…。
昨今、さかんにテレビ等で報道されている「工場野菜」だ。
「最先端技術」「食料の救世主」ともてはやされているのだが。
本当に最先端なのか、食料自給率向上の救世主なのだろうか…。
頭の古い昔人間の小生にはどうも納得がいかない。

小生流に言わせてもらうと、食料は土で育て、
四季を感じて、多少の虫食いは目をつぶって食するのが
本当の意味の「食文化」ではないだろうか。

水の中の栄養分を入れ、一日中光をあてて育成を増長させ、
「無農薬」だとPRしているが、これではまるで昔、子ども時代に
あった紙に味をつけた野菜はないか?と思うのは小生だけだろうか。

地中熱イチゴ

現在、ジオパワーシステムでは、自然界で土で育てつつ、
自然エネルギー「地中熱」により生産性を向上させる研究を続けている。
ハイテクではないが、必ず本物の時代が来ることを信じつつ。

(写真=山口県農林総合技術センターのイチゴ促成栽培ハウスにて・2010年6月)

ランニングコスト

何年前だっただろうか…。三重県のジオパワーシステム施工会員の所で環境関係の婦人団体の方々(約50名)を対象に講演をさせていただいた時の話である。

講演では、ジオパワーシステムの地中熱交換パイプでの空気浄化、花粉の除去効果、CO2削減、健康面での効果、ひいては増加しつつある医療費の削減にもつながることなどを理解していただき、大いに満足され、いろいろと前向きな質問をいただいた。
この中で、1人の品のいい御婦人が手をあげられ「このシステムが良いことはよくわかったのですが、私たち主婦はランニングコストが気になるので、1ヶ月の電気代を教えてほしい」とのこと。

地中熱講演会の様子

平均的な電気代を伝えると、「案外、かかるのですね…」とご婦人。コストには換気システムとしての電気代も含んでいると説明し納得されていたようだが、重ねて私はこう言ってしまった。

「みなさん今日はきれいに化粧されてますね。しかしこの化粧も夕方には落とされるでしょう?毎日毎日繰り返して美人になられますが、これも案外、もったいないですよね」と。

すると場内は笑いにつつまれた。
「それを考えるとCO2削減と家族の健康も買えるわけだから安いですよね」と続けた。場の雰囲気が大いにやわらいだ講演会となった。この後、体感館に見学に来られた程、環境に熱心な女性団体であった。

参加された皆様、あの時は大変失礼しました。

熱中症予防は自然の力で

今年も猛暑がやって来た。予想では今年は冷夏だったはず。
30℃を越えるとさすがに暑い。ましてや35℃を過ぎるとやり場がない。こうなるとエアコンに頼るのもわからないでもない。しかし良く考えてみると、暑いからエアコンではたしていいのだろうか。冷気を作ると室外へはその熱量分だけ熱気を放出してヒートアイランドの原因の1つにもなる。

これを解決する方法はないのだろうかと考えて作ったのが地中熱を基本とした自然エネルギー換気システムである。地中にある夏の冷気と冬の暖気を有効に利用して、建物の基礎空調を行うシステムである。35℃の外気を20℃には出来ないが、24℃~25℃位には出来る。建物の日射等を考えても、政府奨励温度の28℃位には保てる。3年前にヨーロッパで発生した45℃を越える熱波、エアコンのない地域では熱中症により死者が続出したことも記憶に新しい。今年もモスクワは連日35℃を越える熱波だという。

自然エネルギーのこの地中熱利用換気システムは世界中に使用できるし、世界標準システムにもなりうる。「太陽」と「地盤」と「温度差」があれば、世界中で使える平等の地産地消エネルギーである。世界はさておいて日本での普及を目指して日夜ジオパワーシステムは奮闘中である。

発電より大事なもの(少しの我慢と少しの工夫)

自然エネルギーの利用法については続々といろいろなカタチで考案され実行されている。我々のジオパワーシステムも同様であるが、今回は「発電」について考えてみよう。

化石燃料の枯渇など様々な理由から、自然エネルギー等による発電や原発を含む発電などが世界中の注目の的である。もちろん否定するつもりはないが、考え方やものの見方を変えてみると、はたしてそれ一辺倒でいいのだろうかと思う。乱暴な言い方をすれば、電気は余っている。足らないのはピーク時、例えば夏の日中、それ以外は電気は余っているのではないだろうか。ピーク時の最大の理由はエアコンの使いすぎと思われる。

すだれ

 昔に戻れとは言わないが、少しの我慢に、自然エネルギーを利用して、エアコンの使用量を減らしてはどうだろうか。暑いからエアコンに頼る→頼るから排熱が出てヒートアイランド現象となる。これではいくらエアコンの成績係数(COP)があがっても、台数を増やせば逆効果であり、体を壊す原因にもなる。

足らないから発電して電気を作る…ではなく、現状を工夫し過剰な使用を避けるべきである。「もったいない精神」から、少し我慢して、「夏は暑いのが当たり前、冬の寒いのは当たり前」の「ジオパワー精神」でいけば、民生部門の家庭のCO2排出量25%削減は夢ではなく、必ず達成出来る。家族の健康も「少しの我慢」から。それができれば人間の持つ自然の治癒力も回復出来、一石二鳥である。現代人は汗腺の数が減少しているとのこと。暑ければ汗をかき、寒ければ毛穴を閉じて体熱のバランスを取っている。これこそが病に対しての抵抗力、すなわち神より与えられた人間の特権であろう。暑いから寒いからといってすぐにエアコンに頼るのではなく、自然をうまく利用して生活を楽しむのも必要ではないだろうか。その考え方であれば我々の開発したジオパワーシステムで充分に過ごせ、環境と健康の両面から、幸せをつかむことが出来る。まさに家を建てて健康になり、幸せになる…つまり、ジオパワーシステムのコンセプトである。暑い夏をジオパワーと日本古来のよしず、すだれ等を利用するなど、工夫をして乗り切ろう。

すべては太陽から始まる

太陽エネルギーとは本当にすごいものであるとつくづく思う。

太陽が地上に降り注ぎ、発電やお湯を沸かしているのは周知の通りであるが、それは太陽エネルギーを「直接利用」しているのである。我々が開発したジオパワーシステムも実は太陽エネルギーによるものであることをご存知だろうか。

太陽エネルギーの直接利用と間接利用

太陽の降り注ぐエネルギーは地球上の地盤に少しずつ蓄積され地下約5mに達するのに半年くらいかかる。つまり、地下約5mの地点では、夏の暑さを冬に利用でき、冬の寒さを夏に利用できるのである。これがジオパワーシステムの太陽エネルギー利用、すなわち、太陽エネルギーの「間接利用」である。

発想の原点は、「夏の暑さを寒い冬に、冬の寒さを夏に持っていければ快適に過ごせるのに…」という都合のいい子どもの発想からだった。私たちのシステムは太陽と地盤と、温度差(日差、年差)があれば、世界中どこでも、誰でも利用できる平等の自然エネルギーである。このシステムを世界に先駆けて具現化できたことが何よりの喜びであり、今後もさらに「家族の幸せ」を追求していく企業でありたい。「粒は細かいがピリリと辛い」山椒のような企業に。

秋芳洞

先日、テレビの取材で久しぶりにGEOパワーシステムの原点である秋芳洞に行った。
外は30℃近い気温だったが、洞内は一年中、一定して15℃前後、夏は涼しく(寒いぐらい)冬は暖かい、まさに天然のエアコンである。発想の原点は「地中にあり」である。

秋芳洞

エアコンのない昔は、生活の工夫や自然との上手なつきあい方により、夏涼しく冬暖かい生活を享受できていた。

我々の地中熱を基本とした自然エネルギー利用換気システム「GEOパワーシステム」はまさに「自然との共生」であり、それにより「暑ければ少し汗をかき、寒ければ1枚着る」という考え方がベースとなっている。つまり人間の本来持っている自然の治癒力を回復させ、病気に対する抵抗力をも備えるという、一石三鳥以上の効果を作り出すシステムである。

これを全国に広め、多くの方に自然の力で幸せをつかんでもらえば、開発者冥利につきるというものだ。このシステムが世界標準になり、人々の平和を、環境・健康面で貢献できることを願いつつ、自然の偉大なる造形をあとにした。

放送予定:7月18日(日)16:00〜17:00(予定)
       (毎日放送及び全国ネット)

海から見る広大な光のバリアー

港にて船乗りが入港する時の気分は、子供の頃の「遠足の前日」の時のそれに近いものがある。

「陸にあがったらまず何をしようか…」
「女房は元気でいるだろうか…」
「子どもは成長しているだろうか…」

…等々、いろいろ考えたものだ。
そんな入港の夜はデッキ(甲板)に出て、入港の方向を眺めている時に決まって見る光景があった。

 

 

(写真=船乗り時代・港にて…写真右が長男(現社長)、左が長女)

それは、水平線上に浮かぶ広大な光のバリアーである。

近づくにつれてそれが都市の熱気か、巨大なドームの様に空中を覆っていた。この熱気がヒートアイランドを形成しており「この熱を冬場の都市に還元できたらいいのに…」と当時は漠然と考えていたものだ。若気のいたりで入港後の楽しみが先となり忘れていたが、これがジオパワーシステムの原点になろうとは…。すなわち冬場の発生熱をもう一度室内にリターンしてエネルギーを有効利用し省エネにつなぐという考え方である。

発想と行動はつねに必要なものであるとつくづく思う。年を重ねてもいつまでも若者の心でいたいものである。

はじめに

また暑い夏がやってくる。
夏が暑いのは当たり前と思うか、嫌なものであると捉えるかは人それぞれ違う。「どうにかエアコンに頼らない生活ができないものか…」と考えたのが今から35年前。それが大自然の冷暖房「GEOパワーシステム」の発想の原点である。

私は昔、船のエンジニアだった。当時、船の上ではすべてが自給自足であった。電気も水もエネルギーも…。住む人の幸せ、すなわち「健康」を一番に考えた家造りのスタートは、まさに単純な発想の転換からだった。私たちの足元にある膨大なエネルギーの蓄熱層、つまり「大地」を有効利用できないかと…。井戸水の原理で夏冷たく、冬暖かい、地産地消のエネルギー利用である。しかし発案するまでは良かったが、具体化して商品化するのに相当なエネルギーを費やした。

これから私の体験記や開発秘話など諸々を書き綴っていくつもりである。このシステムが皆様の幸せを育むことを期待して。