船乗りが入港する時の気分は、子供の頃の「遠足の前日」の時のそれに近いものがある。
「陸にあがったらまず何をしようか…」
「女房は元気でいるだろうか…」
「子どもは成長しているだろうか…」
…等々、いろいろ考えたものだ。
そんな入港の夜はデッキ(甲板)に出て、入港の方向を眺めている時に決まって見る光景があった。
(写真=船乗り時代・港にて…写真右が長男(現社長)、左が長女)
それは、水平線上に浮かぶ広大な光のバリアーである。
近づくにつれてそれが都市の熱気か、巨大なドームの様に空中を覆っていた。この熱気がヒートアイランドを形成しており「この熱を冬場の都市に還元できたらいいのに…」と当時は漠然と考えていたものだ。若気のいたりで入港後の楽しみが先となり忘れていたが、これがジオパワーシステムの原点になろうとは…。すなわち冬場の発生熱をもう一度室内にリターンしてエネルギーを有効利用し省エネにつなぐという考え方である。
発想と行動はつねに必要なものであるとつくづく思う。年を重ねてもいつまでも若者の心でいたいものである。