大型化する台風

今年は台風が多く、9号が日本列島に上陸した。8月までは日本近海の海水温が高かったせいで上陸は少なかったが、台風といえば、若かりし頃の昭和38年の8月31日だったと思うが、長崎県の五島列島の福江島の荒川という所で内地捕鯨の操業中に出くわした大型の台風11号。

その日は鯨を5~6頭捕獲して荒川港に帰る予定だった。台風11号は通過する予定だったが、停滞して大変な目に遭ったことを思い出した。
操業中は青空が見え、風もなくおだやかだったが、あれが台風の目の中だったとは…。少し経つと大荒れとなり、鯨を船に抱いて帰港中だったが、チェーンは切れるは、波は船全体にかぶるは、生きた心地がしなかった。
所帯持ちは、ワッチ(当直)に入るのをしぶるし、人生今までの最大のピンチであった。あの時エンジンが止まったら、一巻の終わりであったが運は我々に味方した。入港する前には我々の船が遭難したとの噂もたっていた。

地球環境問題が台風の大型化に影響しているとのこと。ジオパワーシステムで省エネにつとめて少しづつであるが貢献したいものである。

ランニングコスト

何年前だっただろうか…。三重県のジオパワーシステム施工会員の所で環境関係の婦人団体の方々(約50名)を対象に講演をさせていただいた時の話である。

講演では、ジオパワーシステムの地中熱交換パイプでの空気浄化、花粉の除去効果、CO2削減、健康面での効果、ひいては増加しつつある医療費の削減にもつながることなどを理解していただき、大いに満足され、いろいろと前向きな質問をいただいた。
この中で、1人の品のいい御婦人が手をあげられ「このシステムが良いことはよくわかったのですが、私たち主婦はランニングコストが気になるので、1ヶ月の電気代を教えてほしい」とのこと。

地中熱講演会の様子

平均的な電気代を伝えると、「案外、かかるのですね…」とご婦人。コストには換気システムとしての電気代も含んでいると説明し納得されていたようだが、重ねて私はこう言ってしまった。

「みなさん今日はきれいに化粧されてますね。しかしこの化粧も夕方には落とされるでしょう?毎日毎日繰り返して美人になられますが、これも案外、もったいないですよね」と。

すると場内は笑いにつつまれた。
「それを考えるとCO2削減と家族の健康も買えるわけだから安いですよね」と続けた。場の雰囲気が大いにやわらいだ講演会となった。この後、体感館に見学に来られた程、環境に熱心な女性団体であった。

参加された皆様、あの時は大変失礼しました。

となりのトトロ

先日、テレビで久しぶりに宮崎駿監督のアニメ「となりのトトロ」を観た。もう何度となく観ているが、その時その時で考え方も違う。亡き女房とみた時、子供達とみた時、孫達とみた時、それぞれ違う。

トトロでまず第一に思い出すのは私の孫娘のララである。皆で集まった時は必ずマイクの前で歌っていた。それもトトロの曲の時だけ大きな声で歌っていたのが頭をよぎる。また、登場キャラクターが孫娘姉妹に似ているのも印象深い。メイが3女のモモにサツキは長女ナナによく似ている。

この映画は、トトロはもちろん、ネコバスやマックロクロスケ…と数え上げればキリがないが、本当に大人が見ても夢いっぱいの楽しさを想像させてくれる。我々大人は忙しさにかこつけて見失うものが多い中、あらためて、「他人の協力」、「思いやり」、「生命の尊さ」を教えてくれる作品であると感じた。幼い子供の生命を大人の勝手でうばったり、放置したり…。現代はどうかしている。この様な作品を親子、身内で一緒に楽しく見る時間的な余裕が必要ではないだろうか。
子供の成長を見守るのは大人の責任である。未来ある子供たちのためにも、すくすくと健やかに成長できる環境づくりにさらに取り組んでいこうと思った。

熱中症予防は自然の力で

今年も猛暑がやって来た。予想では今年は冷夏だったはず。
30℃を越えるとさすがに暑い。ましてや35℃を過ぎるとやり場がない。こうなるとエアコンに頼るのもわからないでもない。しかし良く考えてみると、暑いからエアコンではたしていいのだろうか。冷気を作ると室外へはその熱量分だけ熱気を放出してヒートアイランドの原因の1つにもなる。

これを解決する方法はないのだろうかと考えて作ったのが地中熱を基本とした自然エネルギー換気システムである。地中にある夏の冷気と冬の暖気を有効に利用して、建物の基礎空調を行うシステムである。35℃の外気を20℃には出来ないが、24℃~25℃位には出来る。建物の日射等を考えても、政府奨励温度の28℃位には保てる。3年前にヨーロッパで発生した45℃を越える熱波、エアコンのない地域では熱中症により死者が続出したことも記憶に新しい。今年もモスクワは連日35℃を越える熱波だという。

自然エネルギーのこの地中熱利用換気システムは世界中に使用できるし、世界標準システムにもなりうる。「太陽」と「地盤」と「温度差」があれば、世界中で使える平等の地産地消エネルギーである。世界はさておいて日本での普及を目指して日夜ジオパワーシステムは奮闘中である。

ケープタウンでの家族愛

サッカーのワールドカップ(2010年)はスペインの優勝により幕を閉じたことは記憶に新しい。同大会は南アフリカ共和国での開催だったが、同国のケープタウンには、私の船乗り時代、ほのぼのとしたあたたかい「家族愛」の思い出がある。

当時、我々は船で荷物を世界中に運搬していた。ケープタウンで荷役中のことである。
人種差別のひどい国で、当時(昭和40年代前半)は特にひどく、午後3時になると少数人種の白人が黒人部落に向けて大砲の空砲を発射して威嚇していた。最初は驚いたが「なるほど、歯向かうと大砲を撃つ、と脅すのだな…」と知った。

黒人は家族のため、船の内外で一生懸命働いていた。しかし日本人と違い、時間になると(特に昼)、たとえ荷役中であろうが、荷物が宙吊りであろうが、仕事を終えていた。もう数分か続ければ仕事が一段落するのに…。
そして多くの黒人は港の岸壁で、家族や恋人たちと共に楽しく食事の時間に入っていた。決して高価なものではないが、バスケットの中から手作りの食事を楽しんでいたのを思い出す。

このような「忘れかけていたもの」を思い出すと心がほのぼのとする。我々の家づくりの理想の姿である。家族の憩いの場である家造りは、「健康」「安全」「安心」が最優先である。
あの時の家族や恋人たちは今はどうしているだろうか…。幸せであってほしい。

ゲリラ豪雨と地球温暖化

 梅雨明けが近いのか、集中豪雨が続き各地で被害が出ている。
昨今、こういった現象が多いのだが、この「ゲリラ豪雨」の原因の1つに「地球温暖化」があげられる。

美祢市の大雨

(写真=本社前の駐車場付近[山口県美祢市])

 我々は快適性を追求するためにエネルギー消費を促し、ひいては母なる地球にも影響を及ぼしている。暑さや寒さを回避するため、工夫の仕様がなければ仕方ないが、ちょっとの工夫で出来るのであればそれは実行すべきである。先人の知恵である打ち水やよしず、すだれの利用、そして住まい方の工夫、家の建て方等々…。
 家造りでは「色」も大切である。白い色は光を反射し、黒い色は光を吸収する。また、窓は東西に取ったり南面に大きな窓を取り、ひさしの工夫を施すことにより自然を満喫できるものである。

 地中熱を基本とした自然エネルギーを使うことにより、そのほとんどは解決できる。だが、基本は「暑ければ汗をかき、寒ければ一枚着る」。当たり前のことを当たり前にすることこそ、自分の体を整え、地球に優しい、集中豪雨の少ない環境が実現出来るのではないだろうか。

さぁ、簡単なことから実行、実行。

発電より大事なもの(少しの我慢と少しの工夫)

自然エネルギーの利用法については続々といろいろなカタチで考案され実行されている。我々のジオパワーシステムも同様であるが、今回は「発電」について考えてみよう。

化石燃料の枯渇など様々な理由から、自然エネルギー等による発電や原発を含む発電などが世界中の注目の的である。もちろん否定するつもりはないが、考え方やものの見方を変えてみると、はたしてそれ一辺倒でいいのだろうかと思う。乱暴な言い方をすれば、電気は余っている。足らないのはピーク時、例えば夏の日中、それ以外は電気は余っているのではないだろうか。ピーク時の最大の理由はエアコンの使いすぎと思われる。

すだれ

 昔に戻れとは言わないが、少しの我慢に、自然エネルギーを利用して、エアコンの使用量を減らしてはどうだろうか。暑いからエアコンに頼る→頼るから排熱が出てヒートアイランド現象となる。これではいくらエアコンの成績係数(COP)があがっても、台数を増やせば逆効果であり、体を壊す原因にもなる。

足らないから発電して電気を作る…ではなく、現状を工夫し過剰な使用を避けるべきである。「もったいない精神」から、少し我慢して、「夏は暑いのが当たり前、冬の寒いのは当たり前」の「ジオパワー精神」でいけば、民生部門の家庭のCO2排出量25%削減は夢ではなく、必ず達成出来る。家族の健康も「少しの我慢」から。それができれば人間の持つ自然の治癒力も回復出来、一石二鳥である。現代人は汗腺の数が減少しているとのこと。暑ければ汗をかき、寒ければ毛穴を閉じて体熱のバランスを取っている。これこそが病に対しての抵抗力、すなわち神より与えられた人間の特権であろう。暑いから寒いからといってすぐにエアコンに頼るのではなく、自然をうまく利用して生活を楽しむのも必要ではないだろうか。その考え方であれば我々の開発したジオパワーシステムで充分に過ごせ、環境と健康の両面から、幸せをつかむことが出来る。まさに家を建てて健康になり、幸せになる…つまり、ジオパワーシステムのコンセプトである。暑い夏をジオパワーと日本古来のよしず、すだれ等を利用するなど、工夫をして乗り切ろう。

すべては太陽から始まる

太陽エネルギーとは本当にすごいものであるとつくづく思う。

太陽が地上に降り注ぎ、発電やお湯を沸かしているのは周知の通りであるが、それは太陽エネルギーを「直接利用」しているのである。我々が開発したジオパワーシステムも実は太陽エネルギーによるものであることをご存知だろうか。

太陽エネルギーの直接利用と間接利用

太陽の降り注ぐエネルギーは地球上の地盤に少しずつ蓄積され地下約5mに達するのに半年くらいかかる。つまり、地下約5mの地点では、夏の暑さを冬に利用でき、冬の寒さを夏に利用できるのである。これがジオパワーシステムの太陽エネルギー利用、すなわち、太陽エネルギーの「間接利用」である。

発想の原点は、「夏の暑さを寒い冬に、冬の寒さを夏に持っていければ快適に過ごせるのに…」という都合のいい子どもの発想からだった。私たちのシステムは太陽と地盤と、温度差(日差、年差)があれば、世界中どこでも、誰でも利用できる平等の自然エネルギーである。このシステムを世界に先駆けて具現化できたことが何よりの喜びであり、今後もさらに「家族の幸せ」を追求していく企業でありたい。「粒は細かいがピリリと辛い」山椒のような企業に。

バックファイヤー

先日の新聞でベニグノ・アキノ氏がフィリピン大統領に就任したとの記事を目にした。
フィリピンといえば、私の船乗り時代の次の話を思い出す。

フィリピン沖で当直中のこと。ボイラーを点火する際にバックファイヤーを顔一面に受け火傷を負ってしまった。頭の毛はちりちりに、まゆげはほぼ無くなっていた。ちょうど長い航海を終えて、ケープタウンより横浜に入港する前だったのに、夢は一瞬でパーになった。

夢というのは、男たるものいろいろあるものだが、飲みにもいけず、何かいい方法はないかと思い悩み、考えに考えた結果、「そうだ、まゆげを書けば良いではないか」と、単純で馬鹿げた発想に落ち着いた。鏡を前に太い油性のマジックインキでまゆげを書いた。

結果は、一発勝負だったので右と左のまゆげで段違いになってしまった…。

段違いまゆげ

油性だったのでやはり消すことができなかったが、飲み屋は暗いのであまり分からないだろうと思い、当時キャバレーに彼女がいたのですぐさま会いにいった。
ボックスに座って待っていると彼女とその友達がやってきた。バレないようにと、まゆげに段がついた分、顔をゆがめてバランスを取って頑張っていたがついにバレて大笑いされてしまった。

あの時はそこまでしてでも飲みに行きたかったんだなぁと、当時の自分のアクティブさと馬鹿さ加減に少しおかしくなった。

別れ

別れとは突然にやってくるものだ。

ジオパワーシステム越谷レイクタウン体感館(埼玉県)のオープンで同館に来ていた際、妹のイツ子から電話があり、さぁちゃんねえちゃんが亡くなった…とのこと。

さぁちゃんねぇちゃんとは、我が橋本家にはなじみが深く、私がまだ小さい頃は我が家は貧乏だったため、いろいろと買ってもらっていた。6人兄妹の中では自分とイツ子の2人が特に世話になった。

大人になってもいろいろと助けてもらったものだ。

私は30歳で独立して船舶の修理業を始めたが、最初は仕事が思うようになかった。ある人に「旋盤が使えれば仕事はいくらでもある」と言われたが私には旋盤がなかった。ちょうどその時、50万円の中古で掘り出しものの旋盤があった。金が無くて困っていた時に、さぁちゃんねぇちゃんに相談したら半年の期限付きで借りることができ、旋盤を購入することができた。
しかし、旋盤を設置後、仕事をもらいに行ったが、半年のうちに仕事はとうとうこなかった。この50万円を返すのに、今は亡き女房と金策に走りまわったことが昨日の様に思い出される。

先日も、スーパーマーケットで買い物中に久しぶりに会った時は「フサちゃん(妻)をなくしてさみしぃねぇ~」「一人で買い物もさみしぃねぇ~」と親身になり話してくれた。「車で送ろうか」と言うと、「リハビリのため、近くだから歩いて帰るからいいよ、あんたも気をつけてね」と別れたばかりだった。子どもたちのために働き、生きた昭和の母親である。

さぁちゃんねぇちゃん…葬式には行けず、ごめんなさい…。
安らかに旅立って、あなたが大好きな家族を見守ってやってください。
さようなら。